忍者ブログ
[31] [30] [29] [28] [27] [26] [25] [24] [23] [22] [21]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

統計的推測は多くの場合、観測あるいは経験に最もよく当てはまりそうな
数学的モデルとしての母集団分布を想定してなされるものであり、
そこでなされる推測の良し悪しは必ずそのモデルの適切さに支配される。
モデルを特徴付けるのは、まずは母集団分布の型を表す分布関数や密度関数の
形であり、
次にその関数を確定する平均、標準偏差などの母数の値である。

統計的推測のやり方は大別して次の二つ。推測の対象である母集団に対し
適切と思われる分布を想定した時、
(1)想定された母集団分布の、未知の母数の値はどんな値であると考えるべき
かの推定(estimate)。
(2)想定された母集団分布の母数の値は適当なものであるかどうか、あるいは
その分布の型は妥当なものであるかどうかの検定(test)。
の二つ。

推定の中でも、母数の値をただ1つの値として推定することを、点推定という。
この点推定で推定した値を分布関数に代入して、はじめて有用な解析が進行す
るようになる。
このためにサンプルをとって、それから計算される適当な統計値を母数の推定
値とするが、
それは何らかの意味で最良の推定値でなければならない。

ここでいう「最良」とは、問題によって異なる。
問題ごとに何を持って最良とするかを定義する必要がある。
例えば、
(a)推定量が、推定すべき母数の真の値を与える傾向を持つ
(b)推定量が母数の真の値の上または下にあることが大体同じ割合である
(c)推定量が母数の真の値からあまりひどく離れない
(d)推定量にはサンプルから得られる利用可能な情報が全てふくまれ、それ以
外の推定量を考えても何も付け加える情報が無い。
など。
これらを数学的に定式化して、望ましい推定値の決め方、求め方を明らかにす
る。

(a)の性質は、次のように定式化できる。
母数θの推定量を、サンプルXi, i=1 to nの関数としてT(Xi)とする。
このとき、nを大きくした極限について、lim Pr(|T(Xi)-θ| ≧ε) = 0、
つまり、Tがθに確率収束するとする。
このようなTの性質を、一致性といい、このTは一致推定量であるという。
中心極限定理から、次が言える:
「母集団分布が有限な分散を持つ限り、標本平均確率変数は母平均の
一致推定量である」

(b)の性質は、次のように定式化できる。
これは、推定量T(Xi)が真の値θに対して上または下への偏りをもたないとい
うことだが、
つまりTの期待値がθに落ち着くことであると考えてよい。この意味で、
E[T(Xi)]=θ
なる推定量T(Xi)は、θの不偏推定量(unbiased estimator)と呼ばれ、この性
質を不偏性(unbiasedness)という。


(c)の性質は次のように定式化できる。
一致性と不偏性とを要求しても、推定量Tは一意に決まるとは限らない。
そこで、同じ母数θの推定量で、不偏性、一致性の両方の性質を持つものが二
つあるとして、
これらをT1,T2として、そのどちらが望ましいかを、分散の小さいことをもっ
て判断することにする。
T1,T2の分散をそれぞれσ1^2, σ2^2とするとき、これらの比σ2^2/σ1^2を、
T2のT1に関する有効率(efficiency)という。
θの不偏推定量Tの分散V[T]の下限を計算する式はCramerによって与えられて
いる。
そこで、θの不偏推定量のうち、V[T]がその下限に達するものがあれば、それ
はθの不偏推定量のうちで分散が最も小さいもので、その実現値が真の値から
ひどく離れることはない、ということになる。
このような推定量を、有効推定量(efficient estimator)という。

(d)の性質は、次のように定式化できる。
母数θの推定において、サンプルのデータから得られる全ての情報をその中に
集約し、
他のどんな統計量をとってもそれ以上の情報を補うことのできない統計量を求
めることができるとき、これを充足統計量、あるいはθの充足推定量(sufficient
estimator)という。
この性質を充足性(sufficiency)という。

一つの統計量T(Xi)は、その値が与えられえた時の条件付分布が母数に無関係
である時、充足統計量である。
定理:T1,T2が同じ母数θについての充足推定量であるときは、Ta,Tbはある関
数によって結びつく。

つまり、θの充足統計量はすべて互いに関数関係で結ばれているので、関数関
係を除いて一意。ゆえに、このような充足推定量のうちでθの一致推定量、あるいは不偏
推定量になっているものを選択すべき。

→推定量が一致性、不偏性、有効性、充足性のより多くの(あるいは場合に応
じてより重要な)性質を備えていることが望ましい。

PR

コメント


コメントフォーム
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード
  Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字


トラックバック
この記事にトラックバックする:


忍者ブログ [PR]
カレンダー
08 2024/09 10
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30
フリーエリア
最新コメント
[05/11 管理人2]
[01/10 suna]
[01/10 suna]
[11/07 NONAME]
[09/28 suna]
最新記事
NMF
(05/14)
(05/14)
(09/11)
(08/31)
(08/25)
最新トラックバック
プロフィール
HN:
suna
性別:
非公開
職業:
研究
趣味:
数理的なこと。映画。読書
バーコード
ブログ内検索
最古記事
(09/07)
(09/07)
(09/07)
(09/07)
(09/10)
カウンター